あつい。
部活が終わってからの家までの道のりは正直だるい。
早く帰って涼みたい。
涼みたい、のに…。
「ソフトクリーム食べるのすごく久しぶりだよー」
なんで自ら寄り道したんやろ、俺。
話の流れでこうなったんやけど。
この前食べた抹茶ソフトが思いの外甘くなくてお前向きやった。
と勧めてもそうなんだーと流されただけやった。
こいつは甘いもの苦手というか、わざわざ好んで食べない。
その時の俺は何を思ったのか無性にこいつにそれを食べさせたくて何気なく誘った。
食べに行こうと。
誘ってから、こいつは夏になると食欲極端に落ちるめんどくさい体質やったことに気づいて少し焦った。
でもいつも通りにほわほわした雰囲気で
「光くんソフトクリーム食べたいの?」
なんて聞いてきたときは安心したと同時になんか見透かされてるみたいでムカついた。
まあ、俺もソフト食べるけど。
「光くんはなに食べるの?」
「紫いも」
「おお、渋い!」
ソフトクリーム食べに行くなんてカップルみたいやん。
ちゃんと、カップルやん。
食べに行く過程で俺が誘って行ったのは腑に落ちないけど。
一度でええからスイーツ系の食べ物をせがまれてみたいわ。
こいつの「あれ食べたい!」は肉か、肉って感じで女っ気がない。
冬は決まって「肉まん食べたい」やし。
別にええけど。
今更どうこういうことでもないし。
「わ、つめたいっ」
「当たり前や」
少し控えめにソフトクリームを食べてるのを見てなんか食べるの下手やなとか思ったり。
まあ、普段食べないから当たり前といえば当たり前なんかもしれへんけど。
この暑さでそんなちまちま食べてて大丈夫なんか。
「なに、甘かったん?」
「ううん、美味しいよ。光くんのお勧めはいつも美味しい」
へにゃって笑った。
ああ、これや。
多分俺はこれが見たいが為にわざわざこのクソ暑い中寄り道なんてしたんや。
不覚にもきゅんとした、ちょっと悔しい。
しかもビジュアル的にも今日は肉まんやなくてソフトクリーム。
かわええな。
言わへんけど。
「でもね、こうして帰り道に寄り道してなにか食べてると肉まん恋しくなる」
「はあ?このクソ暑い中肉まん食べれるん?」
「はんぶんこすれば大丈夫だよ!」
「…ほな、明日は肉まんか」
「うんっ!あ、でもクーラー効いた部屋で食べたいな」
「せやな」
ああ、でも。
やっぱ肉まんでもええわ。
かわええのはきっと変わらない。
言わへんけど。
なんか俺、ベタ惚れすぎてキモいな。
なんかちょっと悔しいわ。
悪い気はせえへんからまあ、ええか。
とある夏の日のに
(光くん!どうしよう!ソフトクリーム垂れてきたっ)
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