寝てる…。
いつものことやけど、もう慣れてるけど。
お前はいい加減俺のベッドでいつの間にか寝るなアホ。
雑誌を手に持ちながら爆睡してるこいつを放置して俺はまたパソコンへ向き直る。
女なんやからこう、もう少し警戒するとか。
そういうことはないんか。
いつもいつも放置してるとすぐこれや。
やたらと絡みウザくなるのよりはマシかもしれへんけど…。
なんか、こんな風に寝られても微妙。
自然と溜息をついてしまう。
俺の部屋だけか?
いや、謙也さんの部屋とかでこんな無防備やったらキレるでほんまに。
そもそも謙也さんの部屋とかホイホイ入ってないやろな。
別にどうでもええけど。
布と布が擦れる音がして思わずベッドの方を振り返る。
あ、起きた。
皮肉のひとつふたつ言ってやろうとしたとき、思わず思考が停止した。
いつもみたいな寝ぼけた顔やなくて、真っ青で、息も荒い。
声をかけようとしたけど、言葉が出てこない。
呆然と見つめていると目があって、一瞬うるっと目が揺れた。
かと思ったらベッドから降りて俺のパソコンチェアの横にぺたりと膝をついた。
「なんや」
そう言おうとしたら突然右手が伸びてきて俺の左腕の服の裾がギュッと握られた。
「なんや」
「夢、見た。みんなが居なくなる夢。光くんも謙也先輩も部活の先輩も友達もみんな居なくなる夢」
「夢にビビるて…ガキかお前は」
いつも通り皮肉っぽく返しても俺の服を掴む手がぎゅーっと強くなるだけ。
くそ、なんかこの仕草がかわええとか別に思ってない。思ってない。
息をついて、右手でこいつの頭をくしゃくしゃと掻き回した。
「別に、ここに居るやん。今大事な作業中やし。どっかいったりせえへんて」
そういうと、やっと安心したのかいつもと同じ締まりのない笑顔。
この顔に安心するんだか、馬鹿にされてるような気がするのか。
なんか、なんていうか
不思議な脱力感
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